茶道と工芸

このコーナーではお茶道具に関する様々なことや工芸作家さんに関することを
ご紹介していきます。

▼菓子器のこと ▼抹茶を楽しむ(1) ▼抹茶を楽しむ(2) ▼抹茶を楽しむ(3) ▼抹茶を楽しむ(4) ▼釜のこと

菓子器のこと

お茶のお道具は季節によって使うものが変わりますが
それは模様や銘によって決まります。
今日はお道具の中から"菓子器"の"食籠"についてお話ししたいと思います。
表干家では、生菓子(主菓子)はフタのついた器にいれます。
フタのついた菓子器を食籠(じきろう)といいます。

塗り物の器

冬はあたたかみのある塗り物の器を使用します。
写真の器には柳の模様が描かれていますが、柳のお道具はお正月から3月頃まで使用されます。
お正月や初釜(新年最初の茶会)には、よく、床の間に"結びの柳"が飾られます。

焼き物(陶器)の器

夏は焼き物(陶器)の器を使用します。
ただし、焼き物の器は冬に使用されることもあります。
温かい蒸し菓子などをお出しする際には、温めた焼き物の器に入れてお出しします。
これはすごく準備に手間のかかることなのですが、来られたお客様には「あの時の……」と後々まで、心に残る茶会になることが多いように思います。

抹茶を楽しむ(1)

当店に来られるお客様には お抹茶とお菓子をお出し致しますが 茶道関係以外の方は「どうやって飲むのですか?」 「作法が解りません」 「どちらかに回すんですよね?」と仰います。
抹茶を飲む事が身近な事では無く特殊な事だと 痛感する瞬間です。
そこで抹茶を工芸品である茶道具と共に楽しみ、ご自宅で美味しく気軽に抹茶を召し上がって頂く為のご提案をさせていただきます。
<つづく>

抹茶を楽しむ(2)

抹茶を楽しむ為には最低限 次の3つが必要です。
(1)抹茶
(2)茶筌
(3)茶碗
抹茶には濃茶と薄茶が有りますが、ここではまず薄茶についてです。
抹茶はデパートや専門店で売られており、 それぞれのお店独自の味があり たくさんの種類(ブレンド)の抹茶が売られています。
高くて良いとされる抹茶でも好きな味とは限りません。
自分好みの抹茶を探すのも楽しみの1つです。
ちなみに当店では大阪 池田の三丘園さんの特別ブレンド「別製 薄茶」を使っています。
抹茶の保存は缶のまま゙冷凍庫゙に入れるとよいです。
他の匂いがうつりにくく美味しく長持ちします。
固まってダマが出来るなら粉ふるいで濾します。
<つづく>
写真は三丘園製 別製 薄茶
三丘園茶店ホームページ

抹茶を楽しむ(3)

次に必要な物は茶筌です。
抹茶は 粉末の茶葉をお湯の中で茶筌を使い撹拌させて飲みます。
お湯に溶け込むわけでは無いので時間が経つと茶葉が沈殿してしまいます。
茶筌には煤竹・白竹・黒竹など有りますが、表流では煤竹茶筌を使います。
煤竹は古い藁葺き屋根の民家の中で自然に燻された竹を利用していますが 最近は非常に入手困難で高価になっています。
その為 普段使いの茶筌なら黒竹をお勧めします。 耐久性や適度な柔らかさは煤竹に近いと思います。
当店では奈良 高山の池田壹岐さんの茶筌を販売しています。
茶筌は職人の腕に左右される繊細な工芸品だと思います。
(煤竹茶筌は現在品切れです)

抹茶を楽しむ(4)

さて次は茶碗です。
抹茶茶碗は、一・楽、二・萩、三・唐津 などと言われますが、
毎日手軽に薄茶を楽しむ茶碗なら、
唐津や萩、美濃焼の志野、引出黒、織部などが良いと思います。
手のひらに伝わる柔らかな暖かさ、口当たりの良さ、使い込むにつれ
少しずつ変化する茶碗の肌など土ものならではの楽しみが有ります。
これらの焼き物は窯元もたくさん有り手頃な作品が手に入りますし、
何代も続いている有名な窯元や作家もたくさん有ります。
当店でも萩焼、唐津焼、美濃焼はたくさん扱っています。
お気に入りの茶碗を是非手に入れて下さい。

釜のこと

角谷征一・圭二郎・佳代 親子展 無事終了しました。
今回は在店中の角谷さんに熱心に質問される方が多く釜に対する関心の高さを実感しました
一番多かったのは釜の手入れ、「釜の中が錆びているがどうしたらよいのか?」という質問です
釜の中の所謂"サビ"は実は錆びではなく水に含まれるミネラル分が付着したもので使い続けると茶色から白っぽく変化する様です(但し手入れをしていない古い釜は本当の錆びかもしれません)
定期的に使い続けると良い状態になりますので鉄分補給の為にも釜でお湯を沸かしてお茶を召し上がってみませんか?