地球における固体物質の存在量を見ると、シリカ(酸化
硅素,SiO2)とアルミナ(酸化アルミニウム,Al2O3)が大部
分を占める。どちらも本来無色透明で、シリカ系統の宝石
には水晶、 ガーネット、 トパーズ、 翡翠、 オパールがあり、
一方アルミナ系統にはルビー、サファイア、トルコ石、アレキ
サンドライトなどがある。また、エメラルドは両方の成分を含
んでいる。これら宝石の色も放射線照射により人工的に
変色させることが出来る。まるで魔法の杖である。
また、無色透明結晶の代表のもう一つはダイアモンドである。
◆ルビー(ruby)
ルビー(鋼玉)は本来無色のアルミナ結晶の中に、 酸化
クロム(Cr2O3), 酸化第二鉄(Fe2O3)の微量で発色する
高価な紅い宝石で、酸化チタン(TiO2)によりスター・ルビー
となる。
◆サファイア(sapphire)
同じく鋼玉で、 酸化チタン(TiO2), 酸化第二鉄(Fe2O3)
を含み青く見える。
◆水晶(石英,quartz)
地殻成分中最も多いシリカの結晶で、無色の他、鉄、マンガン
を含む紫水晶(amethyst,アメジスト)、 黄水晶(citrine,
シトリン)、 チタン(Ti)による紅色、気泡によるミルキーなど
千変万化である。地下で長年月間に天然放射線照射を
受けて褐色や煙水晶になったと云われている。 実際に
人工放射線照射により色が変る。不純物が大量層状に
入り不透明なものに瑪瑙(メノウ)があり、 多孔質なので
よく薬品着色をする。 各地の鍾乳洞入口で売られている
お土産品の派手な品のメノウ細工はほぼ薬品着色である。
◆ガーネット(garnet)
ケイ酸(ケイ素を含む酸)の各種金属塩で通常の深紅色
以外に、黄、緑、ピンク、茶、無色、黒まである。発色の素も
カルシウム、 マグネシウム、 アルミニウム、 鉄、 チタン、
マンガン、クロムなど様々な金属を含む。
◆トルコ石(turquoise)
銅とアルミニウムのリン酸塩(CuAl6(PO4)4(OH)8・5H2O)
の古い宝石で、 深い空の青から緑青色までの種々の青
は主に銅と不純物の鉄による。
◆ラピス・ラズリ(lapis lazuli,青金色)
古代から瑠璃とよばれた濃青色宝石でマグネシウム、
アルミニウムのリン酸塩MgAl2(PO4)2(OH)2に各種の
鉱石が混在して色調複雑。
◆ダイアモンド(diamond)
白く輝くというイメージに反して黄色のものが多く、その
色様も様々である。 黄色の石は低価格であるが、
オレンジがかったカナリア色は高価である。
黄色のダイアモンドには窒素(N)を多く含み、 硬度が
高い。 それに対し、 白色、 淡色、 青い石は硬度が低く、
青い石には硼素(ホウソ,B)を含む宝石の色ダイアモンド(diamond)